VANTEC

TECH COLUMN

チタンについて

About Titanium

WRITNG

チタンは1950年以降にクロー ズアップした新らしい工業材料で, その特徴を一口で言えば軽くて強く, 錆びない金属と言う事ができる。学術用語では “チタン”と呼ぶ事に決められている。Titanium (英)を日本人が読むときに、例えば Aluminium (英) をアルミニウムと発音するのに準じてチタニウムとなりがちである。Tiの呼び方はチタンまたはチタニウムなど1950~5年頃まで混沌としていたが, 現在では “チタン”と呼ぶことが正式となり“チタニウム”は昔を偲ぶよすがとして商品名や固有名詞に使われている。AlとTiについて語呂から見ると簡潔なアルミはアルミニウムの俗語であるのに対し, チタンが正統でチタニウムが俗語と, 両者の呼び方は異なつた事情にある。わが国では単にチタンという時は品位が99.2%以上の工業用純チタンを指している。また現在の国内消費は主として化学工業装置の耐食材料として工業用純チタンが使われていて, ただ錆びない特徴を利用しているに過ぎず, 軽量の構造材料としての強力なチタン合金の需要は,今後の開拓すべき問題である。チタン合金は優れた性質を持っているにも係わらずこのようにわが国では需要がまだ拓けないのは, 主として手軽に使う工業材料としては価格が高いという経済的理由によるものである。安価でさえあれば使用される見込の潜在需要は各分野ともきわめて多く, もし需要が増大すれば大量生産に伴なつてコストが下ることも十分に予想されている。現在わが国ではまだこのきっかけと成る様な纏ったチタン合金の国内需要が開拓されていない。一方, アメリカやロシアでは純チタンのまま使われる量はわずかで, 大部分(90%)は軽くて強いというチタンの本来の特徴を十分に活用した強力なチタン合金として使われている。また用途より見ても軍用機, 宇宙ロケット関係などいわゆる軍需が90%で民需は10%に過ぎないと報告されている。しかし近い将来の大きな需要として超音速の民間旅客機の機体構造材料として1機当り約100トンのチタンの使用が見込まれているので, 今後この分野での伸びが期待されている。

チタンの特徴

工業材料としてのチタンの特徴は六方晶金属(高温では体心立方晶)で有るために変形抵抗は比較的大きく,したがつて強い材料(ステンレスの程度)である。製造の際の取り扱い上からは融点が高くかつ高温度では化学的に活性で有るため難しい金属とも言えよう。チタンの主な物理的機械的性質をアルミニウムなどの他の金属と比較すれば, 表1に示すようである。以下それぞれの性質あるいは特徴を詳しく解説するとともに資源, 製法などにも簡単に言及する。

資料の提供またはデーターの使用を許可頂いた各位に厚く御礼申し上げます 。

«チタンの資源および生産
TECH COLUMN TOP